特定技能「介護」の受入れ枠が2万人拡大!しかし、実は育成就労からの「前借り」だった!?
2026/10/20

こんにちは。外国人のビザと雇用問題に取り組む行政書士の森久保です。
本日(2026年10月19日)、特定技能に関して、ちょっと興味深いニュースが発表されました。
政府が、特定技能1号「介護」の受入れ枠を2万人拡大する方針を示したというのです。
これは介護業界にとっては朗報です。
というのも、今年は特定技能「外食業」で受入れ上限に達する見込みとなり、新規受入れが停止されるという事態が起きているからです。
介護分野でも人手不足は深刻ですので、外食業と同じように受入れ停止になってしまえば、介護施設の経営にも大きな影響が出てしまいます。
そこで、政府は介護の受入れ枠を2万人増やすことにしたわけです。
ところが・・・。
このニュースを詳しく読んでみると、少々気になることがありました。
あれ?介護分野全体の受入れ上限は増えていないぞ・・・??
実は今回の措置、特定技能の受入れ枠を単純に2万人増やすという話ではないのです。
では、どうするのか?
答えは、2027年4月から始まる「育成就労」の受入れ枠から2万人分を移してくるというものでした。
具体的には、以下のようになります。

ご覧のとおり、特定技能1号は2万人増えていますが、その分だけ育成就労が減っています。
つまり、介護分野全体ではプラスマイナスゼロ。
まさに、右のポケットから左のポケットへ2万人を移したようなものです。
しかも、ここで興味深いのは、育成就労制度はまだ始まっていないということです。
育成就労制度が始まるのは2027年4月。
現時点では、育成就労の受入れ枠を設定していても、制度が始まっていない以上、その枠で外国人を受け入れることはできません。
そこで政府は、
「まだ使っていない育成就労の枠を、先に特定技能の方へ回してしまおう」
と考えたわけですね。
いわば、将来使う予定だった枠を、現在の特定技能のために前借りするような方法です。
なかなか考えましたね・・・。
ただし、ここで一つ疑問が生じます。
育成就労制度は、外国人材を育成して、将来的に特定技能へ移行してもらうことを想定した制度です。
その育成就労の枠を、制度開始前から大幅に減らしてしまってよいのでしょうか?
今回の変更案では、介護分野の育成就労枠は33,800人から13,800人へと減少します。
なんと約6割減です。
確かに、現在の介護現場では、即戦力となる特定技能外国人を早急に確保する必要があります。
しかし、その一方で、将来の介護人材を育成するための枠を減らしているわけです。
短期的な人手不足への対応としては合理性があるとしても、中長期的な人材育成という観点では、少々気になるところです。
もっとも、受入れ枠は実際の受入れ人数そのものではありません。
育成就労の枠を減らしたからといって、直ちに外国人材が2万人不足するという意味でもありません。
今後、実際にどれだけ育成就労で外国人を受け入れる需要が生じるのかも見ていく必要があるでしょう。
なお、今回の変更は、2026年10月19日の有識者会議で示された政府案であり、まだ正式決定されたものではありません。
政府は今後、2026年12月の閣議決定を目指すと報じられています。
いずれにしても、今回のニュースを見て改めて感じたのは、特定技能の受入れ上限を設定することの難しさです。
人手不足の人数をあらかじめ予測して上限を決めても、現場の需要が予想以上に増えれば、受入れ停止の問題が出てきます。
今回の介護分野では、育成就労という別の在留資格の枠を使って、何とか対応することになりました。
さて、実は同じ10月19日、特定技能「給食」についても、政府から非常に興味深い方針が示されています。
こちらは介護とは違い、別の在留資格から枠を持ってくるのではなく、なんと特定技能の「分野そのもの」を変更するという方法です。
これはこれで、なかなか興味深い問題があります。
次回の記事では、介護分野との違いも含めてご紹介したいと思います。
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